「ビタミンD」と不妊の関係
不妊症克服!〜日常生活〜シミシワが気になるからと、夏はもちろん冬でも常に紫外線を気にして対策をされている方はいませんか?
日光に当たる機会が少なかったり夜型の生活をしていると、知らず知らずのうちにビタミンDが不足してしまうことがあります。そして、それが妊活の妨げになっている可能性があるのです
ビタミンDは、皮膚に太陽光(紫外線B波)が当たることで体内で合成することができる唯一のビタミンで、別名「太陽のビタミン」とも言われています
このビタミンDは主に、骨や歯の成長・健康のためにとても重要です。
カルシウム代謝を調節するために重要なビタミンで、小腸でカルシウムの吸収を高め、血液中のカルシウム濃度を高める作用があります。
血液中のカルシウムは必要に応じて細胞や骨に取り込まれ、骨や歯の成長・形成を助けるので、ビタミンD不足になるとカルシウムの代謝が悪くなり、骨粗鬆症の原因にもなってしまうのです。
また、骨や歯の形成以外にも、がん予防や免疫力を高める効果・インスリンの分泌を促し血糖値を下げる作用があることもわかっており、健康には欠かせないビタミンのひとつです。
ここまでが一般的に知られているビタミンDの主な働きです。
このビタミンD、実は女性の健康と深い関わりがあります。
なんと妊娠においても重要な働きをすることがわかっているのです。
ビタミンD不足で妊娠率が下がる
ビタミンDの受容体(受容体とは、ビタミンDをキャッチする器官で、血液と共に流れてきたビタミンDが「鍵」であれば、受容体は「鍵穴」のようなもの)が視床下部・子宮・卵管・卵巣・乳腺・胎盤に存在することがわかっています。
「そこに受容体が存在する」ということはつまり「ビタミンDを必要としている器官」ということです。
卵胞液中のビタミンD濃度が1ng/ml高くなると、妊娠率が6%増加することがわかっており、様々な比較リサーチでも妊娠したグループでは血中のビタミンD濃度が高いという結果が出ています。
また、某不妊治療クリニックの先生のお話しによると、なかなか良い結果が出ず妊娠にいたらない女性は、血液中のビタミンD濃度が明らかに低いという特徴があるとのことです。
ビタミンD不足は初期の流産リスクを上昇させる
着床期の子宮内膜の形成にも、ビタミンDが関与していることがわかっています。
ビタミンDは胚と子宮内膜のコミュニケーションを高める働きがあります。
不足した状態だと、内膜がしっかりと育たず、受精卵の着床を維持しにくくなってしまうのです。
さらにビタミンDは免疫にも関係しています。
身体に細菌などの外敵が侵入すると「抗体」が作られ、異物を攻撃し排除してくれるのが免疫ですが、自分の細胞を攻撃してしまう「自己抗体」ができてしまうことがあります。膠原病や甲状腺疾患をはじめ多くの疾患で自己抗体の関与が判明していますが、不妊に関しても例外ではありません。自己抗体が受精卵を異物とみなして攻撃し、流産してしまうということがあるのです。
習慣性流産の女性を対象に、ビタミンD濃度と自己抗体の関係を調べた研究がありますが、ビタミンD濃度が正常値の(30ng/ml)のグループに比べ、ビタミンD不足のグループに自己抗体を持っている方が多いということがわかりました。
ビタミンDの不足は免疫異常を起こし、習慣性流産のリスクを高める可能性があるのです。
AMHにもビタミンDが関与している
AMHとは抗ミュラー管ホルモンの略で、発育過程にある前胞状卵胞から分泌されるホルモンです。女性の卵巣予備機能を知る指標になると考えられており、濃度を測定することで残っている卵胞の数を測定し、卵巣年齢が何歳くらいか推定します。
AMHはビタミンDによって増加します。つまり、ビタミンDが多ければ多いほど卵胞の発育が良く、AMHの数値が上昇します。
また、日差しの少ない冬場は、夏場に比べてAMHの数値が約18%下がるという結果もあり、ビタミンDとの関係性を示しています。
AMHの数値は年齢とともに下がるというのが定説ですが、季節の変動=ビタミンDの量にも影響を受けているのです。
妊娠・出産後もビタミンDは重要
無事に元気な赤ちゃんを出産した後でも油断は禁物です。
ビタミンDが不足していると、母乳の分泌量が減少することもあるのです。
もともと母体のビタミンDが母乳へ移行する割合が少ないため、赤ちゃんのビタミンDも足りなくなりがちで、発育の障害が起こる可能性もあります。
つまり授乳中は、より多くのビタミンDが必要になります。
このように、妊娠を望む女性にとって、ビタミンDはとても重要な働きをすることがわかっています。
でも強い日差しの中を日焼け止めなしなんて・・・シミやシワになってしまうのは嫌ですよね。
そんな方はまず食品からビタミンDを摂取することを意識してみましょう。
さんま かれい うなぎ いわし さけ あじ きくらげ しめじ 干しシイタケ 鶏卵
このような食品に多く含まれています。
主にお魚ですね
お肉を食べることが多い方は、お魚も取り入れるようにしてみてください。
日焼けも気になるところですが、日差しを浴びる時間は長くなくても大丈夫です。
夏場は一日約15分程度
冬場は一日約1時間程度
週に3日程度、どちらも日差しの強い時間帯に日焼け止めを塗らず、肌の3~4割を当てるだけで十分ビタミンDの合成ができるのです。
夏は熱中症に注意しながら、少しの時間だけ日差しを浴びて、そのあと日傘や日焼け止めなどで紫外線をブロックするようにしてみてください。
ビタミンD不足にならないように、無理のない程度の日光浴と、ビタミンDを多く含む食品を積極的に取り入れて、妊娠しやすい身体をつくっていきましょう。
食生活・ライフスタイルは人によって様々。当院では一日も早く健康を取り戻していただけるよう、お一人お一人に合わせたアドバイスもさせていただき、妊活をサポートいたします。お気軽にご相談ください。
眠活で妊活!
不妊症克服!〜日常生活〜みなさまこんにちは!!
秋から冬へと季節が移り変わり寒さが増してきましたが、なかなか気候が安定しないですね。
気候が不安定だと体調や自律神経にゆらゆらと揺らぎが出て、バランスを崩しやすくなります。
そこで重要になってくるのは、質の良い睡眠を取ることです。
良い睡眠は、ありとあらゆる美容と健康を維持する為に欠かすことのできないもの。
眠っている時間は「無」の状態なわけではなく、起きている時間を充実させる為に必要なのです。
普段私達が睡眠中に行なっていることを大きく4つに分けてみますと!
1.脳と体の休息
2.体内のメンテナンス
3.記憶の定着
4.ストレスの解消
良質な睡眠は起きている時間をより充実したものにしてくれるのが分かりますね。
ではここで、以前思わず読み入ってしまった本から興味深いお話をしてみたいと思います。
世界の中で正しい眠り方を知らないのは、なんと!日本人だけだと言う事実をみなさんご存知でしたでしょうか ?
驚きの事実ですね…
日本では「正しい眠り方ってなんですか?」と聞かれると、おそらく答えに困る方がほとんどだと思います。
欧米をはじめとする海外の学校教育では、眠り方を学ぶ「スリープエデュケーション=睡眠教育」が組み込まれていて専門的な講習まで行なわれているのに対して、私たち日本人の多くは眠り方の基礎さえ学んでいません。
知識として知らないのに、正しく眠る事なんて、到底無理ですよね ……。
「正しい眠り方」=「眠りのメカニズム」 を理解して身に付ける事。 それこそ、現代人に最も必要とされる能力のひとつなんです!
例えば。。。
仕事や遊びで忙しく睡眠不足が続いていると 「 エネルギーを使っているから痩せそう 」 と思いますが、実はその逆。
「 良い睡眠でスリムになり、寝不足になると太る 」 のです。
質の良い睡眠中には、体脂肪や内臓脂肪を分解してくれる成長ホルモンがたっぷり分泌され、どんどん体が太りにくい体質に変わっていきます。
新陳代謝はもちろん、食事で摂った 「糖」 や 「脂質」 の代謝までアップするので、冷えが取れ「健康的に妊娠したい女性」にはうれしい事ずくめです!
最新の研究で、睡眠時間は 体重 ・ 体型、また妊娠しやすいからだを手に入れることと大きな関係がある事がわかってきています。眠活で脳を味方につければストレスを感じることなく適正体重を維持し、妊娠力をアップすることができるのです。
その理由は、ちょっと専門的な内容になってしまいますので、興味がない方は緑色の字の部分を飛ばしてくださいね 。
脳の視床下部にある食欲中枢は、空腹感をコントロールする摂食中枢と、満腹中枢で構成されています。
摂食中枢が働くと食欲を増すホルモン 「 グレリン 」 が分泌され、満腹中枢が働くと食欲を抑制するホルモン 「 レプチン 」 が分泌されます。
さらに睡眠時間が減ってグレリンが増えると、目を覚まさせる働きに加えて食欲を増す作用のあるホルモン 「 オレキシン 」 を分泌させる神経細胞が興奮する事もわかっています。
つまり『 睡眠不足 → レプチン分泌低下 → グレリン分泌増加 → オレキシン分泌増加 → 食欲増進 → 起きて食べる → 肥満 』という風に、このような負のスパイラルに陥ってしまうのです
睡眠が私達にとって重要なのは、体重コントロールだけではありません。女性ホルモンのバランスとも密接に関連しているので、妊活に大きな影響を及ぼすのです。
一般的に40歳を過ぎた頃から、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下するといわれています。基礎体温の主に低温期に分泌されるこのホルモンは、東洋医学の陰陽論では「陰」のホルモンと考えられています。
「陽」は、男性的なエネルギー・太陽・昼・動・明・熱
「陰」は、女性的なエネルギー・月・夜・静・暗・冷
というように分類されます。
女性は陰のグループに含まれ、エストロゲンもまた陰に分類されます。
陰のエネルギーは「夜=陰の時期」に「陰の活動 = リラックス(静)」をすることで養われます。
逆を言えば、夜に「陽の活動=動き回ること、脳を酷使すること」をしていると、陰=エストロゲンの作用が弱くなってしまうのです。例えば、内膜が薄くなる、卵胞の育ちが悪い、頸管粘液の減少、ひいては高温期に体温を維持できなくなる黄体機能不全に発展することも。
東洋医学では、日没後は薄暗い中でゆったりと食事をして睡眠の準備に入ることをすすめています。しかし現代社会では、日没後にTVを観たり、ネットサーフィンを楽しんだり、仕事をするなど、「陰」の時間帯に「陽」のアクティビティをしていることが多く、そのことが不妊や生理不順などの原因の一つになっている可能性があります。
心当たりのある方、多いのではないでしょうか? 特にお仕事をお持ちの女性は、なかなかなか「陰」の時間をキープすることがむずかしいですよね…。
少なくとも睡眠の質を大きく左右する就寝1時間前は 、「 リラックスする時間 」 と決めて、パソコンやTVを消してみることから始めて見てはいかがでしょうか。
できることならば、家に帰ったら仕事はしない。寝る前にスマホやパソコンをしたり、TVを観ないように。寝る2~3時間前までに夕食を済ますことも大切です。
そして、お部屋を暗くしたら早めにベットに入り目を閉じてゆっくりとリラックス。
それによって仕事が溜まってしまうようでしたら、日の出と共に起きて仕事をすることは、「陰」のエネルギーを消耗することがありません。
都会で働いている方にはなかなか難しいことですが、できる限り「洞窟に住んでいた原始時代」のような生活リズムを心掛けることも妊娠への近道です
私自身も睡眠について改めて学ぶことで、眠るまでの時間の過ごし方に気をつけていこうと思うようになりました。
この機会に眠活に力をいれて心も体も健やかに過ごせるようにがんばっていきましょう!
~参考~
以前、睡眠時に分泌されるメラトニンと卵子のクォリティの関係について、ブログでご紹介させて頂きました。ご覧いただいてない方は、こちらをクリックして下さい。
*参考図書
「睡眠 1日9時間のキレイの近道 睡眠美容術 」友野 なお 著 中央公論新社 より。
食生活・ライフスタイルは人によって様々。当院では一日も早く健康を取り戻していただけるよう、お一人お一人に合わせたアドバイスもさせていただき、妊活をサポートいたします。お気軽にご相談ください。
メラトニンの卵子クォリティ改善効果
不妊症克服!〜日常生活〜以前「意外としらない卵子のお話」で、卵子の老化についてお伝えしました。(※まだお読みでない方はコチラ )
排卵される卵子の元となる原始卵胞は、私達がお母さんのお腹の中にいる胎児の頃に一生分用意されています。そのため、今排卵されている卵は、自分と同じ分だけ歳を重ねています。加齢とともに卵子は歳を取り、妊娠できる能力は低下していきます。眠っていた原始卵胞が目覚めて成長をはじめ、第一次卵胞→第二次卵胞→成熟卵胞と成長をして排卵にいたるまでの期間は約180日。つまり卵子の老化を食い止め、質を改善するためには、少なくとも半年以上をかけてライフスタイルを改善することが大切です。
*内膜や卵胞の質の改善は、冷えが取れて血流が改善されればもっと早く実現できます。
ここで、卵子の質を改善する作用があると注目されているのが「メラトニン」
ある研究では、メラトニンを摂取すると変性卵率が低下し、受精率が上昇したという結果が報告されています。メラトニンの抗酸化作用は、卵巣内酸化を抑制し、卵の質を改善することができると期待されています。
そもそも「メラトニン」って何なのでしょう
●睡眠が卵の質を左右する!?
メラトニンとは、脳の松果体という場所から分泌されるホルモンです。メラトニンには1日の中で分泌リズムがあります。朝光を浴びると分泌がとまり、暗闇で分泌が促進されます。朝日を浴びてから約14時間~16時間後徐々に分泌が高まり、深部体温を低下させるとともに眠気を誘導します。いわゆる、「体内時計」をつくっているのがメラトニンです
ところが、夜に強い照明の中にいたり、朝の光を充分に浴びないと、体内時計が乱れ、メラトニンの分泌も減ってしまいます。メラトニンの分泌のピークは午前2時。その時間に熟睡をしている状態が理想です。眠りが浅い、寝付きが悪いなどの睡眠トラブルがある方は、体内時計が乱れ、メラトニンの分泌が低下している可能性があります
そしてメラトニンには、体内時計を作るだけではなく、体を老化から守ってくれる抗酸化作用もあるということがわかってきました。抗酸化作用とは、体を酸化=老化から守ってくれる力のこと。切ったリンゴが空気に触れて時間がたつと酸化して茶色く変色するように、私達の体も酸化し錆びていきますその酸化の原因となるのが活性酸素。この老化を招く活性酸素を追い出す抗酸化作用をメラトニンは持っているのです。すごいと思いませんか?!メラトニンの分泌が低下しているということは、卵の酸化=老化のスピードも早いということです。メラトニンを分泌させる生活を身に付け、体も卵もアンチエイジングしていきましょう
● メラトニンを分泌させる習慣を身につけよう朝の習慣
①起きたら早めに朝日をあびてメラトニンの分泌リズムのスイッチオン。
②朝食を食べることで、基礎代謝をアップして、体を活動モードに。
③同じ時間に起床し、メラトニン分泌サイクルを一定に。夜の習慣
① 夜は強い光を浴びず、メラトニンの分泌を促進!
②寝る前にお風呂や足湯で体を温める!一度体が温まった後、深部体温が低下すると眠気が誘導されやすくなります。その温度差が大きいほど、疲労回復や質の高い睡眠につながると言われています。温泉に入った翌日は、体がすっきりしていませんか?
③カフェインの摂取は午前まで!睡眠の質をさげないよう、午後は控えましょう
④ベットで本は読まない。脳が活動モードになってしまいます。
⑤夕食は寝る3時間前までに。インスリンが分泌されると、眠りの質が低下することがわかっています。
●メラトニンって摂取できるの?
アメリカではサプリメントとして流通していますが、日本では認可されていないため購入することはできません。メラトニンの分泌を促進する以下の食べ物から取り入れていきましょう!
オススメ食材はコチラ
ブロッコリー、アスパラ、フレッシュミント クルミ、ざくろ、黒茶など
またメラトニンの原料となるのは蛋白質。大豆や鶏肉、卵なども不足しないよう意識して取り入れていきましょうこの食生活はNG
血糖値の乱高下は体にとってストレスとなり、メラトニンの分泌を低下させると言われています。血糖値を急激にあげてしまう甘いものは取り過ぎないように注意しましょう。食事の後、すぐ怠くなったり眠くなったりする方は血糖値の乱高下が起きている可能性大。食事をする時は、いきなりご飯やパンをたべるのではなく、サラダや食物繊維から食べるようにすると、血糖値の上昇が緩やかになります。
また食後血糖値の上昇度合いを測る指標として、GI値(グリセミックインデックス)があり、GI値が高いほど血糖値が上昇します。例えば、主食の食パンは90以上、白米は80~89、うどんは80とGI値は高めです。けれど、ライ麦パンやおそば、玄米は50~59とGI値が低め。GI値が低いものを選ぶだけで、糖の吸収を緩やかにすることが可能です。また色の濃いものは、白いものよりGI値が低い傾向があるので、食品を選ぶ時に意識してみて下さいね
以上 いかがでしたか
東洋医学でも、日没後に活動したり、夜更かしをしたりしていると、体を潤す力が低下し、卵子が育ちにくくなると言われています。
お布団に入ると、手足だけ火照って外に出したくなる、寝汗をよくかく、うんちがうさぎのフンのようにコロコロしている
、、、などの症状に心あたりがある方は、体を潤す力が低下し、卵子の質や成長に影響がでている可能が大
メラトニン同様、質の良い睡眠をつくる生活を意識していただくことで、体質を改善することは可能です
ぜひ今日から意識してみてください
内臓を休ませよう!「ファスティングの5大効果」
不妊症克服!〜日常生活〜秋になりましたが今年は気温がとても不安定ですね。夏の胃腸の疲れが今頃に出てくる方も多くいらっしゃいます。
そんな季節には、意識して内臓を休めてあげることが大切です。
今回は健康的なダイエットの1つでもある、「ファスティング= 断食」についてお話をしてみたいと思います。
一体どういうものか、みなさんご存知でしょうか…?
ただのダイエット方法の1つだと思われがちですが、実はもっと深いものなんですよ。
日本ではまだまだ認知度の低いファスティングですが、ジュース断食・スープ断食・フルーツ断食など実はダイエット以外にもデトックスやリラックスなど様々な効果が検証されています。ですので “ 体重コントロールのためだけのもの ” と思っているのは、非常にもったいないことなんです
「断食」と聞くと、飲まず食わずあるいは水だけを飲む完全断食をイメージされるかもしれませんが、今回ご紹介するのはもっと気楽にチャレンジできるものです。厳しい修行僧のような “ 絶食 ” を想像される方も多いと思いますが、そんなにストイックなものではないのでご安心ください。
具体的な方法の前にまず、断食によって体がどう変化するのかをご説明しますね。
ファスティング(断食)の5大効果
*少し専門的になりますのでお時間のない方はスキップしてくださいね。
1デトックス(解毒)
ファスティングの大きな効果として、まずデトックスが挙げられます。
デトックスとは毒素を分解したり排出したりすることです。ファスティング時には多くのデトックス効果が期待でき、日常生活の中で特に排出が難しい毒素(主に、宿便・有害金属・食品添加物の3つ)も排出することができるのです。
→ 例えば、生理前や生理中にしっかりデトックスすることで、お血が減り、着床しやすい内膜を作ります。
2 ダイエット(脂肪燃焼回路の確立)
体脂肪にある脂肪細胞は、運動したからといってすぐには燃焼されません。しかしファスティングによって体内の糖質を使い切れば、2~3日目以降はエネルギーのほとんどが脂肪から作られるようになります。
→ 痩せ過ぎもいけませんが、適切に脂肪を燃焼させて、妊娠に必要な栄養素(サプリメントや葉酸など)をしっかり吸収できるようになります。
3リセット(代謝酵素の活性化と内臓の休養)
ファスティングの効果で外せないのが、数多くある酵素の中でも代謝酵素が活性化することです。 体内の酵素は大きく“ 代謝酵素 ”と “ 消化酵素 ” の2種類に分けられており、ファスティング中は消化酵素の分泌量が減ることで、代謝酵素が活性化します。代謝酵素が活性化すれば、体のすみずみまで代謝酵素がお手入れをしてくれます。 また、胃腸・肝臓・腸などの内臓を休めることができ、内蔵が本来もつ機能を取り戻しやすくなります。
→ どんなにバランスの良い有機野菜などの食事を摂っても、内臓が疲れていては妊娠に必要な働きを養うことはできません。
4リラックス(脳の活性化)
脳 のエネルギーがブドウ糖であるというのはよく知られた話ですが、ファスティング開始から2~3日で体内に蓄えられていたブドウ糖は使い切られてしまいま す。そこで代役を務めるのがケトン体で、脳でエネルギー源として使われます。このケトン体で脳が満たされると、α波が多く発生し、リラックスして集中力が 上がります。
→ 妊活に大敵な様々なストレス。ストレス緩和しながら穏やかに楽しく過ごせる時間を持てることで、ホルモンバランスが整います。
5 リバース(身心の再生と生活習慣の改善)
ファスティングによって生まれ変わった体は、本来の機能や感覚を取り戻し、今までの悪習慣から解放してくれます。貴重な時間とお金を割いて、様々なものを我慢して得た健康と美容は、きっと無駄にしたいとは思わないでしょう。
→ 体質改善できたお体には、質の良い卵や育む為の子宮環境が整います。
今回ここでオススメしますのは、いろいろある中でも日常生活を送りながら取り組めるプチ断食方法です。
具体的な方法を説明していきますと、プチ断食は3日でワンセットとして考えるようにします。
またこの3日間は、アルコール禁止です!
お酒好きな方にはつらいところですが、ここはグッと我慢…。
肝臓を休めるという意味でも、ぜひ3日だけ我慢してみてくださいね。
仕事が土日休み、という方は、
金・土・日の3日間を使うと、スムーズにプチ断食ができると思います。
●1日目
朝:いつも通り
昼:いつもの7割
夜:いつもの半分(寝る4時間ほど前には済ませる)
水分は多めにとるようにします。
●2日目(プチ断食当日)
3食抜きます。
水のみ飲んでOKです。意図的にいつもより多めに飲むようにしましょう。
激しい運動などはさけて、ゆったりと過ごすようにします。
●3日目 (回復食)
朝:おかゆのみ(よくかんで、ゆっくりと食べる)
昼:いつもの半分
夜:いつもの半分
この3日目がプチ断食の成功・失敗を左右するといっても過言ではありません。
胃腸がお休みをしていた後に突然普段のお食事をしてしまっては、体調を崩して不調になってしまう恐れがあります。せっかく頑張ったファスティングが復食期の過ごし方(回復食)によって、「失敗」に終わってしまいます。
ですので、ここで「成功」の為に回復食で欠かせないことをお伝えしていきたいと思いますので、もう少しおつきあいくださいませ。
①回復食の食事は、お粥と味噌汁
ファスティングから明けたばかりの復食期1日目の朝は重湯がよいでしょう。そして午後からは、お粥や具なしのお味噌汁をゆっくり頂きましょう。
②断食期間と復食期は同時間
ファスティングを3日したのなら復食期期も3日かけるつもり行ってください。3日の断食期間なら回復食の期間も3日必要。復食期2日目からは、野菜や豆類、きのこ類なども加えたおかずとお粥を頂くとよいでしょう。フレッシュジュースやスムージーを回復食として摂りいれるのもよいでしょう。
③断食明けは、とにかく慎重に
バランスのいい和食を心掛け、出来る限りゆっくり少量を良く噛んで頂くことを心掛けましょう。一旦食べ物を口にすると食欲が湧き出てきますので我慢と注意が必要ですね。
④3日間の回復食が終わったらようやく普段通りの食事を
普段通りとはいえ、今まで休めていた消化器官を突然酷使させるような食事の仕方は厳禁です。一気に食べ過ぎてしまうと、腸閉塞など、健康トラブルを起こしてしまう可能性もあります。
⑤炭水化物のものばかりを摂らない
ファスティングから通常食に戻す時、おかずが少なく、麺類・丼もの・パンなど炭水化物がメインの食事にならないようにしましょう。せっかくしたファスティングが過食に変化してしまうきっかけとなってしまいます。食欲のリバウンドに陥らないためには、炭水化物の摂取に偏らないことが大切です。
⑥砂糖・塩をあまり使わずに、薄味で
しばらく食事を摂っていない味覚はとても敏感になっています。濃い味付けにしなくても十分なおいしさを感じる事ができるはずです。また、濃い味付けは食欲を増進させてしまうので注意が必要です。
⑦普段よりも良く噛んむ
また「腹六部」から始めて、「腹八部」を守っていけるように習慣付けて下さい。飽食に慣れたからだがファスティングによりせっかくリセットさせたのですから、これを機会に少量の食事で満足できるようになりましょう。
⑧回復食で必要なのことは「体に聞く」
ファスティング中は、胃腸が「休息モード」に入っています。つまり「消化力」が落ちています。別の言い方をすると、毎日、毎日、消化に追われて疲れていた胃腸を、ファスティングで休ませてあげているので、急に消化できない状態になっているのです。眠っていた消化力をそっと起こすように回復食をいれるつもりで行いましょう。
* 時には食べないことは自然なこと *
ファスティング(断食)は、“ 不自然なこと” として、嫌悪感を抱く方もいらっしゃるでしょう。しかし、自然界の動物はごく当たり前にファスティングを行なっているんです。幼虫は成虫になる前に、動物は出産の前に、体内を活性化させるために行なっています。またケガをした動物は、傷を少しでも早く回復させるために行なうと言われています。
ロシアでは国の保健が適用され、10,000人以上のデータが保有されています。
さらにドイツでは、国民の10~15%が経験者で「断食で治らない病気は、他のどんな治療でも治らない」ということわざがあるくらいだそうです。
また当院が行う鍼灸にも腸の状態を整える効果があります。まずは、腸を元気にすること。
その結果、お体の不必要な老廃物などのデトックスや体重コントロールに効果が表れ、お血になりにくい体を維持できるようになります。
ただご注意いただきたいのは、体質に合った方法やその反応をしっかりとみながら取り組むこと・くれぐれも無理をしないことがとても大切ですので、分からない時は医師にご相談いただくか、私達鍼灸師にお気軽に聞いて下さいね。
内側から健康に素敵なライフスタイルを送れるよう、しっかり内蔵を休ませて規則正しい生活を過ごしていきましょう!!
食生活・ライフスタイルは人によって様々。当院では一日も早く健康を取り戻していただけるよう、お一人お一人に合わせたアドバイスもさせていただき、妊活をサポートいたします。お気軽にご相談ください。
妊娠の邪魔をする?!ベビ待ちの天敵「活性酸素」
不妊症克服!〜日常生活〜・タイミング法や人工授精をしてもなかなか妊娠しない
・体外受精・顕微授精しても受精しない
・受精はしたけれどもグレードが低い
このような悩みを抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか
妊娠するために重要な精子と卵子。医療技術の発達で、妊娠するまでの距離がより短くなりましたが、それでもなかなか妊娠しないケースも多くあります。
そこには精子や卵子の「質=クオリティ」が大きく関係しているのです。
加齢によって精子や卵子の質が低下することはよく言われていますが、年齢が若くても質が悪い場合もありますし、年齢が高くても質が良い場合もあるため、それが全てではありません。
精子や卵子の質を悪くする原因の一つに「活性酸素」が考えられています
活性酸素とは酸素が変化してできるもので、すべての呼吸をする生物の体内に発生します。
食べた物が消化吸収され、栄養が体内の細胞に行き渡り、エネルギーとして変換される時に発生する化合物が「活性酸素」です。
この活性酸素自体は悪いものではありません。体内に細菌などの有害物質が入ってくると、解毒作用や免疫システムが働き、酸化力の強い活性酸素を作り出し、武器となって戦ってくれるのです。
しかし、この活性酸素が増えすぎた時が大問題なのです
活性酸素は酸化作用によって正常な細胞や組織を攻撃し、老化を促進させるだけでなく、ガン細胞を発生させてしまうのです。
みなさんの周囲を見渡してみてください。年齢よりも若く見える方・老けて見える方はいませんか?
遺伝ももちろん関係していますが、その他にもその方の食生活や生活スタイルによる「酸化」作用が大きく関わっていると考えられています。
例えば、りんごを切ってそのままにしておくと、切り口から茶色く変色してきますよねこれは酸素が他の物質と結びついて酸化することで起こります。
鉄も時間が経つと、徐々にサビてきます。これも酸化によって起こります。
つまり身体の中に活性酸素が増え過ぎるということは、強い酸化作用によって「身体をサビさせる=老化を早める」ということなのです。
活性酸素が身体に増えすぎてしまうと、生殖細胞の老化が早まり、卵子や精子の質を低下させるだけでなく、子宮内膜の状態も悪くなり、着床障害や流産の原因となることもあります。
活性酸素が必要以上に増えてしまう原因である生活習慣を見直してみることが大切です。
■食生活
外食やコンビニ、ファストフードなどに含まれている食品添加物を多く摂取すると、肝臓が解毒しようと働く際に、活性酸素が発生します。アルコールの摂り過ぎも同様です。
■タバコ
百害あって一利なし。タバコの有害物質が体内に入ると、解毒作用や免疫が働き、活性酸素が大量に発生してしまいます。
■激しい運動
呼吸が激しくなり、体内の酸素量が増える分、活性酸素の発生も多くなります。ウォーキングなどの軽い運動がおすすめです。
■ストレス
免疫学的にも、ストレスを感じて自律神経バランスが崩れると、活性酸素が増えることが分かっています。
このように特定の生活習慣で活性酸素が増えるということは、裏を返せば「生活習慣を変えれば活性酸素は減らせる!」ということです。
さらに積極的に活性酸素を減らして、細胞を若く保つためには、「抗酸化」がカギとなります。
私たちの身体には、もともと活性酸素と結びついて無害なものにする酵素「スカベンジャー(抗酸化物質)」が作られています。
しかし生活習慣の乱れによって活性酸素が増えすぎると、スカベンジャーの作用が追いつきません。
活性酸素を作らない生活習慣をすることも重要ですが、さらにスカベンジャーの働きを助ける抗酸化作用のある食品を取り入れて、活性酸素から身体を守りましょう!
代表的なものはビタミンCが有名です。強い抗酸化作用があり、日本の生活に密着している「緑茶」
にも含まれています。緑茶に含まれるビタミンCは熱に強く、壊れないまま身体へ吸収されていきます。
また、緑茶に含まれているカテキンには、スカベンジャーを助ける作用もあり、緑茶を毎日飲んでいる女性の妊娠率が高いことは以前のブログでもご紹介したことがありましたね。
その他にお茶では、最近話題になっている「ルイボスティー」 緑茶のなんと50倍の抗酸化効果があるんです。
アルコールでも、赤ワインに含まれるポリフェノールには抗酸化作用がありますので、1日グラス一杯程度でしたらオススメです。当院でも以前、45歳と47歳で自然妊娠をした患者様は、毎日グラス一杯の赤ワインを飲まれていました。ただし妊娠の可能性があるときには注意してくださいね。
また、スカベンジャーは酵素でできているので、タンパク質が不足すると生成できません。
食事も見直して、肉、魚、卵、大豆、ゴマなどの良質なタンパク質
を摂るように心がけましょう。
この機会に、できるところから少しずつ普段の生活習慣・食事を見直してみませんか?
セラキュアでは活性酸素に負けない身体づくりをお手伝いしています。鍼灸の不妊治療の際に、食生活/食養生のアドバイスも行なっております。お気軽にご相談ください
ミトコンドリアと妊活
不妊治療の最新ニュース子供の頃、理科の授業で習ったミトコンドリア。
なぜ、ミトコンドリアが妊活に重要なのでしょうか?
ミトコンドリアは、エネルギーを作り出す工場です。体重の10%を占めていて、体全体のミトコンドリアを集めると、なんと頭と同じ重さになります。
脳や筋肉、肝臓、腎臓といったエネルギー要求度の高い重要臓器の細胞には、数百〜数千ものミトコンドリアが含まれています。特に卵子には多く含まれていて、10万個前後も存在すると言われています。卵子はそれだけたくさんのエネルギーを必要としている、ということですね。
ミトコンドリアは加齢により質が低下し、量も減少していきます。そうすると、体内で作られるエネルギーが不足してきます。最近疲れやすくなったなと感じている方は、もしかしたらミトコンドリアの活力の低下が関係しているかもしれません。
ミトコンドリアは、卵子の活性や成熟から受精に至るまでのエネルギーを作ります。ミトコンドリアの元気が無いと、その一連の流れがうまくいかなくなるため、卵子の減数分裂や受精、胚発育が妨げられることとなります。
2015年12月にはミトコンドリアを実際に使った最新の不妊治療として「オーグメント療法」が日本産婦人科学会倫理委員会にて臨床研究として承認されたと報告がありました。翌月の2016年1月には関西のクリニックで実際に治療が開始されています。
オー グメント療法(Autologous Germline Mitochondrial Energy Transfer (AUGMENT)) とは、卵子の中にあるミトコンドリアが卵子の質と大きく関与している事に着目し、本人の卵巣組織から卵子前駆細胞を抽出し、その細胞から元気の良いミトコ ンドリアを取り出し、顕微授精時に精子と共に注入し、体外受精の成功率を高めるという方法です。
胚の分割が途中で止まってしまったり、その結果として胚盤胞が出来ないような患者さんが対象となります。また、胚の中に多くの細胞のかけら(フラグメントといいます)が存在するためグレードが悪く妊娠できない方も適応になります。46歳以上になると核異常の頻度が高くなり、ミトコンドリアのある細胞質の改善をしても思った効果が得られない可能性が高いので、原則は45歳までとされています。現在までにカナダ、スペインなど海外5ヶ国で250症例以上が実施されており、31名の児が出生しています (2016年7月現在)。
つまり、ミトコンドリアの量や質を良くし元気にすることが、
では、どうしたらミトコンドリアを活性化できるのでしょうか?
お金をかけず、簡単にチャレンジできる方法がありますので、ご紹介します。
①空腹感を感じる
過食はミトコンドリアの質を低下させてしまいます。ポイントはAMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)という飢餓状態で働く酵素。この酵素がPGC1αというたんぱく質を活性化し、ミトコンドリアは作られますが、『満腹』状態になるとAMPKが働かずミトコンドリアが作られなくなってしまうのです。
そこでおすすめなのが、『プチ断食』です。1日のうち食べる時間を4〜8時間、食べない時間を16〜20時間とし、空腹感を感じて食事を摂るようにされると効果的です。
ただし、空腹のあまり急激に大量の食事を摂取してしまうのは逆効果ですのでご注意くださいね。
②有酸素運動
ややきつめの有酸素運動をすることで最も有効的にミトコンドリア が増加すると言われています。
効率的な運動方法があるのでご紹介します。
- 30秒小走りで走る。
- 脈が整うまで約1分間歩く。
- また30秒小走りで走る。
これを5分ほど続け、汗が出てきたら有酸素状態になっているサインなので、それから30分以上有酸素運動をおこなってください。
③朝日を浴びる
朝目覚めたらカーテンをあけ太陽の光を浴びましょう。できれば、5〜10分間『気持ちいい〜』と言葉に出し、背伸びをしてみてください。それだけでミトコンドリアは活性されます。
太陽の光は、体内時計を整え、セロトニンやメラトニンというホルモンをつくってくれます。
メラトニンは睡眠ホルモンとして、セロトニンは心を鍛えバランスを整えるホルモンとして有名ですが、その他にミトコンドリアを減らす天敵「活性酸素」を除去する働きがあります。
④短い時間で身体を冷す
お風呂から上がる時に冷水シャワーを浴びる、水風呂に入る、冬にTシャツを着る、など短時間で身体を冷すとミトコンドリアが活性されます。冷水シャワーの場合、温かいシャワーと冷たいシャワーを交互に浴びるとより効果的です。心臓が弱い方は避けて下さい。妊活中は、下半身の冷し過ぎにもご注意ください。
⑤鍼灸・マッサージ
マッサージによって筋細胞内でサイトカインと呼ばれる炎症性蛋白(たんぱく)の活性が減少し、新たなミトコンドリアの増殖が促進されることが報告されています。この研究は、医学誌「Science Translational Medicine(サイエンス ・トランスレーショナル医療)」オンライン版に2月1日掲載されました。鍼治療は、マッサージ同様サイトカインを抑制する事ができるので、ミトコンドリアの増殖促進の効果が期待できると考えられます。当院では鍼灸治療に加えて、指圧による筋肉の調整も一緒に行なっていますので、より効果的です。
ミトコンドリアが妊娠する為にとても大事なものだとお分かりいただけましたでしょうか?
食生活・ライフスタイルは人によって様々。当院では一日も早く健康を取り戻していただけるよう、お一人お一人に合わせたアドバイスもさせていただき、妊活をサポートいたします。お気軽にご相談ください。
排卵後でも夫婦仲良く♡←着床しやすくなります!
不妊症克服!〜日常生活〜以前、「不妊と花粉症」のブログで、Tレグ細胞についてお話ししました。
(まだご覧にっていない方はこちらからどうぞ→☆)
Tレグ細胞は、免疫の過剰反応を抑える細胞で、妊娠の成立や維持にも関係しています。
受精卵や胎児が異物として拒絶されないよう免疫反応を抑制する役目があるため、Tレグ細胞が少ないと着床障害や流産が起こりやすくなります。
Tレグ細胞を増やすには、免疫バランスを整えることが重要ということは以前お伝えしましたが、他にも子宮内膜が精子にさらされることでTレグ細胞が増加するということがわかっています。
つまり性交渉後にTレグ細胞が増えるということです!
1周期のうち、週に1回の性交では妊娠率が15%なのに対し、一日おきの性交の場合だと33%、毎日の性交だと37%と高くなります。
排卵期に関係なくいつでも性交を行っているカップルは妊娠率が高いという報告があります。これは精子の質が良くなることとも関係がありますが、精子に反応してTレグ細胞が増加することも関わっているものと思われます。
妊活中の方は特に、排卵したらセックスをしても意味がないし…と思われがちですが、免疫抑制のことを考えると高温期にもぜひ性交渉を持っていただきたいと思います。
自然妊娠には排卵日の数日前からタイミングをとり、排卵したらすぐに受精できる状況が望ましいとされています。フレッシュな卵子とフレッシュな精子であればあるほど受精・着床の確率が高いからです。
しかし排卵期ばかりを意識するとプレッシャーやストレスとなり、心身や夫婦関係に悪影響を及ぼしてしまうこともあります。
パートナーとのスキンシップとしても、排卵時期とは関係なく性交渉を持ってみてはいかがでしょうか。
なお、人工受精後や受精卵移植後などの場合は、衛生面のことや子宮の収縮によるリスクを考え性交渉をすすめないクリニックもありますので、よくドクターと相談するようにしてくださいね。
要注意! 妊活中の鎮痛剤
不妊症克服!〜日常生活〜
頭痛や生理痛が辛い…
痛くなる前や、痛みを感じたらすぐ痛み止めを飲んでいるという方がよくいらっしゃいます。常備薬として、持ち歩いている方も。
もちろん痛いのを我慢して仕事を続けるのは肉体的にも精神的にもストレスになりますが、なかなか妊娠しない方はどんな時にどのくらいの頻度で痛み止めを服用しているか思い出してみてください。
それは、鎮痛剤を服用することで排卵が抑制されてしまうことがあるからです。
痛みには「プロスタグランジン」という物質が関係しています。
プロスタグランジンは主に、痛みを増強させる作用や血管拡張作用・発熱作用・子宮収縮作用があります。怪我をすると赤く熱をもって腫れたりするのはこのためです。
また、月経中はプロスタグランジンが子宮を収縮させて経血を排出させるように働きます。過剰なプロスタグランジンの分泌により、子宮の収縮が強くなることで痛みを感じてしまうのが一般的な生理痛です。
市販されているバファリンやロキソニンなどの痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬NSAIDs)はこのプロスタグランジンが体内で合成されるのをブロックすることで痛みを和らげるという仕組みになっています。
しかし痛み止めの作用はそれだけではありません。
プロスタグランジンは副交感神経刺激物質でもあるため、痛み止めの服用によりプロスタグランジンの合成が阻害されてしまうと交感神経が優位に働きます。結果、血管が収縮し血流が悪くなり冷えの原因にもなってしまうのです。
これにより胃の粘膜にも影響が出やすくなるため、病院ではよく胃薬が一緒に処方されることがあります。
そして、排卵期に痛み止めを服用すると「黄体化未破裂卵胞(LUF)」を引き起こしてしまうことがわかっています。
黄体化未破裂卵胞とは、排卵しないまま卵胞が黄体化してしまう現象です。つまり卵子を外に放出しないまま、卵胞が次のステージへと進んでしまうので、精子と卵子が出会う事ができません。子宮内膜症などによる癒着や不十分なLHサージでも起きる事がありますが、プロスタグランジンの合成が阻害されることも深く関係していることがわかっています。
自然周期での採卵の場合、採卵前に排卵するのを抑えるためにボルタレンなどが処方されることがあるのはこのためです。
しかしタイミングをとっている場合、排卵ができないと致命的。排卵時期の鎮痛剤の服用は、できるだけ避けるようにしましょう。
痛みは悪いものと思いがちですが、痛みは身体の治癒反応です。頭痛も交感神経優位から副交感神経優位に戻そうとしている反応。
痛み止めを飲む前にできることはたくさんあります。
ドクドクと拍動するような頭痛は急な血管の拡張が関係しているかもしれません。その部分をアイスパックで冷やしてみてください。
ズーンと重たい痛みの頭痛は血行不良や首のコリによるものかもしれません。首の後ろを温めてみましょう。
生理痛は、子宮が冷えて硬くなり収縮しにくい場合や、ドロドロ経血でスムーズに血が排出されない場合に子宮の収縮がより強くなってしまうことが関係します。どちらも全身の血流や冷えが深く関わります。お腹や足を冷やさない服装にし、足湯をしたり服の上からお腹にカイロを貼って温めるのも効果的です。
しかしどうしても痛みが辛すぎて、日常生活やお仕事に支障が出る方もいらっしゃいます。そんな時は、我慢せず痛み止めをの服用してしまった方がストレスが少ない場合もありますのであまりストイックにならないことも大切です。
頭痛・生理痛・胃の痛み…痛みの症状には鍼灸治療が効果的です。辛い症状を緩和するのにも有効ですが、理想は症状が出ないような体質に改善していくこと。頭痛や月経痛などは、不妊治療と同時に行うことができますので、ご相談下さいませ。
お酒と不妊症
不妊症克服!〜日常生活〜
『妊活中だけど、お酒を飲みたい!』
そんなお酒好きの方、たくさんいらっしゃいますね。
ただでさえストレスがたまる不妊治療。お酒を飲んでパ〜ッと憂さを晴らしたい!
……そんなお気持ちよく分かります。
忘年会やクリスマス、アルコールの誘惑も増える季節になりました。
今回は妊活中の飲酒の是非に注目してみたいと思います。
お酒を飲みたいけど、妊活中に飲んで大丈夫なのかしら?
そんな疑問を持ちながらお酒を飲まれていることありませんか。
お酒を飲むと、体の中ではどんなことがおこるのでしょうか。
アルコールは体内に入ると肝臓で分解、解毒されますが、その際に活性酸素を発生させます。
活性酸素は、大量に摂取すると身体を酸化=錆びさせる働きがあり、細胞の老化を早めてしまいます。
適量であれば大きな害はありませんが、大量に摂取することにより体内の活性酸素が増え、当然ながら妊活には良い影響を与えません。
では、「適量」とはどのくらいのことを言うのでしょう?
厚生労働省では、日本人の「節度ある適度な飲酒」は1日平均純アルコールにして約20g程度であるとしています。
約20gの目安は、下記の通りです。
●ビール(アルコール度数5%)…中瓶1本500ml
●清酒(アルコール度数15%)…1合180ml
●ウイスキー・ブランデー(アルコール度数43%)…ダブル60ml
●焼酎(アルコール度数35%)…1合180ml
●ワイン(アルコール度数12%)…1杯120ml
ただし、これは一般的な数値。妊活中の人向けではありません。
アメリカのASRM(アメリカ生殖学会)のデータによると
1日2杯以上のアルコール摂取で、不妊の割合が60%増加とあります。
ただし、人種によりアルコールの分解能力に差があるので、
この数値をそのまま日本人に当てはめるのは、ちょっと危険かもしれません。
飲酒量が多ければ多いほど不妊のリスクは高まりますので、やはり妊活中はできるだけ断酒/禁酒するのが正解です。
しかし、どうしてもそれは辛い!という方に朗報があります。
赤ワインに多く含まているポリフェノールは、その抗酸化作用によって卵巣に良い影響を与えるという報告があります。卵巣ガンを抑制する効果があるというデータも有名です。
当院でも以前、毎日グラス半分〜1杯くらいの赤ワインを飲んでいらっしゃった方が45歳と47歳で自然妊娠されたことがありました。
どうしてもお酒が飲みたくなったら、ぜひ少量の赤ワインをチョイスしてみてください。
もちろん着床・妊娠の可能性が少しでもある時期は胎児にも母体にも様々なリスクが生じるので、少量でもNGです。
妊活中は飲酒を控えるというのが大前提ですので、アルコールに弱い方が無理して赤ワインを摂取することも避けてくださいね。
食生活・ライフスタイルは人によって様々。当院では一日も早く健康を取り戻していただけるよう、お一人お一人に合わせたアドバイスもさせていただき、妊活をサポートいたします。お気軽にご相談ください。
パートナーにも知ってほしい 〜喫煙と不妊症〜
不妊症克服!〜日常生活〜不妊症の13%は喫煙が原因と言われており、妊活中に禁煙することはとっても、とっても重要です。
しかし身体に良くないとわかっていてもなかなか禁煙できない方や、パートナーが禁煙してくれず悩んでいる方が多いのが現状です。
また、妊娠は女性のものとの考えからか、妊活中は男性側の喫煙は関係ないと思っている方や、妊娠したら禁煙すればいいと思っている方も少なくありません。
タバコを吸うことで、肺に悪影響を及ぼすというのはイメージしやすいですが、意外にもタバコの有害物質は生殖細胞では血液中より濃度が高く、なんと精巣や卵巣の生殖器官に多量に集まりやすくなるのです。
タバコには4000種類以上もの化学物質が含まれ、その中の69種類が発がん性物質。
一般的な紙巻きタバコの有害性を100とすると、葉巻で67、電子タバコで4となり、紙巻きタバコの有害性は非常に高いものなのです。
卵子にも精子にも悪影響を及ぼすタバコ
タバコの有害物質が体内に入ると活性酸素が発生し、その強い酸化作用によって身体の細胞を老化させてしまいます。
中でもタバコに含まれるシアン化水素という物質は、細胞内にあるミトコンドリアの働きを抑えてしまうことがわかっています。
ミトコンドリアは、卵子を取り囲む細胞を活性化させる信号を出し、エストロゲンの分泌を促すという重要な役割があります。エストロゲンは卵子の成長はもちろん、活性酸素に対抗する酵素である「抗酸化酵素」を増やす働きもあるため、喫煙は卵子の成長に悪影響を及ぼし、老化を促進させてしまいます。
さらに喫煙により卵子のフラグメントが増加し、受精にも時間がかかるため、胚盤胞まで到達する確率が低くなることもわかっています。
(フラグメントとは細胞分裂の際に生じる細胞の切れ端のようなもので、フラグメントが少ないほど卵子の質が良いとされているものです。フラグメントが多いと細胞分裂の妨げとなり育ちにくくなるほか、フラグメントの多い卵子ではミトコンドリアが減少しているとの報告もあります。)
男性の場合、喫煙することで精子を溜めておく精嚢の容積が小さくなり、精液の量が減ってしまうことがわかっています。これは喫煙本数に比例するため、タバコを多く吸う人ほど影響があります。
また、非喫煙者と比べて精子濃度が13~15%低下、運動率が10~17%低下、奇形率が15%増加します。
他にも活性酸素の酸化ストレスにより、精子のDNAがダメージを受けることで受精卵にも影響を及ぼし、胎児の奇形率や癌、遺伝病のリスクを増大させてしまうこともわかっています。
精液検査では精子の数や運動率、形などは調べられても、DNAダメージまでは確認できないもの。精子に問題が見られなくてもなかなか妊娠しない場合、喫煙による影響もゼロではないかもしれません。
その他にも、喫煙は受精卵の質の低下、着床率の低下、妊娠継続率の低下、染色体異常の増加、流産率の増加にも関係します。これらは女性だけの問題ではありません。女性の質の良い卵子・男性の質の良い精子があってこそ妊娠が成り立つのです。
パートナーと一緒にじっくりと環境作りを
ちなみに、現在の精子や卵子は身体の中でいつ作られているかご存じでしょうか?
精子は約80日、卵子は約180日かけて作られ排出されます。
つまり男性なら2~3ヶ月前、女性は6ヶ月ほど前から。
現在までの生活スタイルはどうでしたか? 精子や卵子は喫煙・食事・睡眠・ストレス…さまざまな影響を受けながら育ちます。妊娠を目指すなら3ヶ月先・6ヶ月先の身体の事を考えて、今から禁煙して準備しておくことをオススメします。
最後にひとつ。
「タバコを吸うより禁煙のストレスの方が身体に悪い」という理屈も聞きますが、喫煙によって解消されるのはニコチンが切れた時のイライラだけで、身体はタバコの有害物質にさらされてストレスを受け続けます。妊活中の身体とってマイナスなことしかありません。
身体に入った有害物質を取り除く方法はありませんが、禁煙のストレスを解消する方法はいろいろあるはずです。
妊娠しにくい方にとって、タバコは致命傷になりかねません。
東洋医学では、タバコが止められない理由を個別に探し出して、鍼灸で治療をすることが可能です。妊活中にご夫婦のどちらかが禁煙ができずに悩まれているようでしたら、ぜひご相談くださいませ。